花粉症を治すと停滞期を打破できる意外な理由
これまで『停滞期の原因を「消化」「吸収」「代謝」「排泄」の順番で解説して来ました。
停滞期の原因について、具体的な症状別の話に移行しています。今回第20記事目は、前回の「減量から一度離れなければならないケース」に続き、「花粉症とインスリン抵抗性」について解説していきます。
3月。この季節は花粉症に悩まされている人が多いと思います。もう2月から発症している人もいるかと思いますが、十度の免疫異常がある方では、一年中アトピーを含め、何かしらの免疫疾患を持っているでしょう。
今回は、ダイエットを妨げる酸化ストレスと免疫疾患の関係から解説していきます。
そもそも「花粉症」とはなんでしょうか?
花粉症とは花粉を吸い込んだりすることで「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」等の症状を引き起こすアレルギー性鼻炎のひとつです。
この花粉症。不思議なのは個人差があるだけでなく、小学校高学年から、あるいは社会人になってからなど、後転的に発症する人がいる点です。もちろん、昨今は「PM2.5」など環境ストレスが増えていますから年々ストレス要因が増えている原因も否めません。けれど、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
免疫とは、異物を殺菌して体外へ排除するまでの一連の流れを言います。中でも、免疫グロブリン(Ig)と言う、外敵を攻撃する武器(タンパク質)は5種類あり、特に「IgA」は鼻や腸など「体外と体内の境目」に存在する免疫の最前線を担っています。
花粉症やアトピー性の皮膚炎などを直接誘発しているのは「IgE」という免疫グロブリンですが、最前線で外敵と戦っていたIgAの機能が低下して異物が体内に侵入した時、IgEが発動して花粉症を引き起こす原因となります。
つまり、鼻や目などの粘膜(IgA)の強化をして異物の侵入を防ぐとともに、体内での炎症(IgE)が過剰に働かないように抑制することが花粉症の治療に役立ちます。
では、なぜ花粉症に見る免疫対策がダイエット停滞期に有効なのでしょうか?
異物を無毒化するためには「活性酸素」を用いた殺菌が必要ですが、活性酸素は私たちの細胞自身にもストレスを与えます。活性酸素は酸化ストレスを細胞に与えますが、この酸化ストレスが慢性すると細胞膜が荒れてしまい「インスリン抵抗性」を亢進させてしまうのです。
通常、花粉症対策となれば「高ヒスタミン剤」が主役でしょう。中には「ステロイド剤」や「非ステロイド剤」を処方されている方もいらっしゃるかもしれませんが、これらの抗炎症剤に共通するのは「エイコサノイドの抑制」です。
「エイコサノイド」とは、簡単にいうと体内の炎症をコントロールする物質です。抗炎症剤は、このエイコサノイドそのものをストップさせてしまいます。
そのため、抗炎症剤は痒みを抑えられますが、蓄積した活性酸素由来のストレス除去や、異物と白血球との戦いを鎮静する働きはもちません。細胞単位で見ると酸化ストレスが除去されていません。炎症が蓄積するほどインスリン抵抗性は亢進するので、痩せにくい体へどんどん傾いてしまうのです。
諸悪のもとであった免疫システムそのものを正常化しなければダイエットも、QOLも、両方に課題が残ってしまうのです。
前置きが長くなりましたが、着目すべきは
❶免疫の自力を強化すること
❷蓄積した酸化ストレスを除去すること
これらが重要です。
まとめると、免疫系にトラブルが起きている方に多い栄養欠乏は
グルタミン、ビタミンD、ビタミンC、ビタミンA、亜鉛、EPA・DHAなので、これらの成分の摂取量を増やされるのが重要です。具体的には
◯鼻や目の粘膜を強くする成分に
ビタミンA、D、亜鉛が役立ちます。
◯免疫グロブリンの生産力を増やす成分に
ビタミンA、グルタミンが役立ちます。
◯白血球の活動量を増やす成分に
ビタミンCが役立ちます。
◯白血球の量を生産し、的確に花粉だけ攻撃して、味方の細胞を傷つけないようにする成分に
ビタミンA、ビタミンD、亜鉛が役立ちます。
◯仕上げとして、異物との戦い後の炎症除去に
EPA・DHAが役立ちます。
免疫系のトラブルからインスリン抵抗性が生じてしまうケースについて今回触れました。インスリン抵抗性を数値化したものにHOMA-R指数というものがありますが、インスリン抵抗性とビタミンDの欠乏は特に相関が強い。という報告もあります。
体を作る目的は人それぞれですが、カッコ良い体と、健康な体、そしてQOLを向上させることは、全ての方々に共通するポイントかと思います。
花粉症がきつい季節ですが、免疫系のトラブルが自身に起きていないかを知れる機会でもあると思います。痒いと気分も億劫になりがちですが、私たちが目指すのは健康な体と、健康な心です。「花粉症があることも自身を知る良いきっかけだった」と思って、内側から強くしなやかな体を作っていきましょう。