どうしても甘いものが食べたい原因と誘惑の乗り越え方①血糖値編
これまで『停滞期の原因を「消化」「吸収」「代謝」「排泄」の順番で解説して来ました。様々な角度から停滞期について解説してまいりましたが、今回からは実践中に遭遇する様々な状態と解決方法について解説していきます。
今回28記事目は「どうしても甘いものを食べたくなってしまう現象と対処法①」について解説していきます。
ダイエットも筋肥大も共通して重要なことは「血糖値のコントロール」です。特にダイエットの場合は血糖値を乱高下させないことがストレスを緩和させたり、体脂肪の効率的な燃焼を促進します生み出します。
そのため糖質の摂取量は、カロリー制限や糖質制限など、何かしらの方法で減らすことでインスリン(脂肪細胞に栄養を送るホルモン)の分泌を減らすことが栄養療法の基本戦略となります。
さてダイエットの大敵は「食欲」です。中でも甘いものが無性に食べたくなってしまった時の衝動は凄まじく、甘い誘惑に屈服してしまった経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
人は、なぜ甘いものを食べたくなるのでしょう?食べたくなる主な原因は
①血糖値が下がっていて、脳に糖分が届いていない
②血中のセロトニン濃度が低下している時
③血糖値が乱高下してしまうほどに腸内環境が荒れてしまっている
④細胞に炎症が蓄積していてインスリン抵抗性が起きている
主にこの4種類の原因があります。
原因が4つもあると難しい話になりそうだと感じてしまうかもしれません。ですが私たちが目指すところはひとつです。目指すべきは「脳と全身に安定した栄養供給をすること。」ここに注目できれば4つの問題は一筆書きに、一つの観念として代謝を捉えることができます。
4記事にわたって、まずはこの4つの原因ひとつひとつを解説していこうと思います。まずは「①血糖値が下がっていて脳に糖分が届いていない状態」について言及します。
さて、前置きが長くなりましたが、糖が脳に届かなくなると脳ではエネルギーを生み出すことができません。脳神経細胞の中にもミトコンドリアがあり、ミトコンドリア内でATPを生産できた時、初めて脳内でも情報伝達ができるようになります。
脳に栄養が行き届いていれば、脳内で適切にエネルギーが生み出せるため、集中力やメンタルは安定し、甘いものを食べたくなったりドカ食いをしなくても済むようになります。
ただ、脳は少し特別です。脳は私たちの体をコントロールする重要な機関です。そのため血液脳関門と言う風邪ウイルスのような異物が脳に侵入しないように堰き止めている関所のような機関があります。
この関所を通過できるのは、一部のアミノ酸と糖、そしてケトン体です。飽食である現代で、私たちはケトン体をエネルギーに使うことはあまりありません。
糖質が溢れる現代で私たちは、食後の血糖値の上昇とその後の血糖値下降を毎日繰り返しています。「脳に糖が届きやすい時期」と「脳に糖が流れにくい時期」を繰り返していて、まるで潮の満ち引きのように血糖値が大きく振れる中で「元気がでた」「疲れた」と繰り返しています。
さて、血糖値が下がっても甘いものを欲しがらない人の特徴は、肝臓内の糖や筋肉内のタンパク質を糖へ変換する力が強いひとです。
一方、甘いものがすぐに食べたくなってしまう人とは「下がった血糖値を自力で引き上げる力」が低下している可能性があります。
例えば、筋肉量が少ない女性や華奢な方は、筋肉の絶対量が少ないため、アミノ酸から糖を生み出す力が弱い可能性があります。
また、偏食やジャンクな食事がもともと慢性している人の場合、ビタミンやミネラルの備蓄量が少ないので、肝臓内の糖や筋肉のアミノ酸を糖に変換する力が弱いかもしれません。
また、カフェインを飲まずにはいられない方の場合は、アドレナリンやコルチゾルなどの、血糖値を上げるホルモンを酷使しすぎていて、カフェイン無しには自力で血糖値を上げる力が残っていないかもしれません。
このように①の「脳に糖分が届いていない」原因はこのような背景があります。
こうした場合の解決方法は、筋肉量が少ない方も、偏食でジャンクな物を召し上がられていた方も、カフェインに依存していた方も共通して「GI値が低い物を食べること」です。つまり、「甘いものが食べたくて仕方がなくなってしまう人」は、低糖質ダイエットよりも、低脂質ダイエットの方が、最初は向いているかもしれません詳しく見てみましょう。
例えば筋肉量が少ない人なら、食べた糖を筋肉で受け止められる量も少ないため、筋肉を増やす場合においても筋肉量に見合った糖質摂取のコントロールが欠かせません。
また、「ジャンクフード」とは精製されていて「ビタミンやミネラルが少ない食事」を意味しますから、実は精製された白米もジャンクフードに含まれてしまいます。玄米に切り替えたり、おかずとの食べ合わせで全体のバランスを取るような配慮が必要となります。食べ合わせる品目が多いと結果的にGI値も少なくなります。
カフェイン依存者は血糖値が下がり過ぎてしまう状態を避けることが需要なので、カフェインを止めると同時に玄米おにぎりのような物を用いて分食することで血糖値の過下降を防ぐとともに、カフェイン中毒を抑えることができるため、無理がない減量が可能となるでしょう。
冒頭でダイエットは「血糖値のコントロールが重要です」と書きました。なので「糖質を分食したら痩せにくいんじゃないか?」「結局食べているのだから本末転倒だ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
一理ありますが、我慢に我慢を重ねてドカンと食べてしまうくらいだったら、分食などちょっと寄り道をしながらの減量に切り替え、食べるタイミングやカフェインが無い状態に慣れてくる状態を見計らって減量方法をステップアップする方が、心理的にも楽に取り掛かれるかもしれません。
ダイエットとは、今まで長年積み重ねた「太る習慣」から離れることですから、継続力やストレスをためない技術こそ、目先の成果よりも重要なリバウンド防止策になります。
今回は①の「脳に糖が届かないケースの甘い物を食べたい状態の防止法」について言及しました。次回は②「血中セロトニン濃度の低下と甘い食べ物」について言及します。どうぞお楽しみにお待ちくださいませ。