なぜ人間は二足歩行で歩けるのか。 姿勢制御に必要な「感覚情報」の基礎。
私たちは何気なく二本の足で立っていて姿勢を保持し日常生活を送っていますが、様々な情報を基に姿勢を保持し二本足で立ち、歩くということをしています。
人間の二足立位姿勢は四足動物に比べ、身体重心が高く支持基底面が狭いため、とても不安定な状態です。
立位姿勢保持は主に「前庭系」「視覚系」「体性感覚系」の感覚情報を基に「脳」に情報が送られ、脳から運動指令が出されます。
感覚情報を脳が受け取り、脳が身体に指令を出すことで人間は二足歩行という不安定な姿勢を制御することができます。
まず前庭系、視覚系、体性感覚系の3つの感覚情報についてご説明したいと思います。
○前庭系
重力、加速度、回転を司る器官であり、頭部と体の位置情報を脳に伝えます。
○視覚系
周辺環境と水平線に対する目の関係の情報を脳に伝えます。
○体性感覚
体性感覚は皮膚感覚、深部感覚に分類されます。
•皮膚感覚
皮膚表面の触覚や圧覚を感知しその情報を感知し脳に伝えます。
•深部感覚
関節や筋肉に存在する受容器により位置、運動、力感覚を感知し脳に情報を伝えます。
人間はこの3つの感覚情報を基に適切な運動指令が出され、スムーズかつ繊細に身体を動かすことができます。
その中でも人間の姿勢制御において「体性感覚」は非常に重要な役割をしています。
体性感覚において「足底」から感覚情報の入力は姿勢、歩行においてとても重要です。
足底には固有受容器と呼ばれるセンサーが多く存在し、全身のバランスを保つために大切な役割を担っています。
「靴を履いている時」よりも「裸足」の場合の方が姿勢が安定します。
これは裸足になることで足底から直接感覚情報を得ることで姿勢が安定すると考えられています。
他にも足関節の位置と肢位でも感覚入力に重要な役割を果たすと言われています。
足関節が中間位の人よりも回内足や回外足の人は姿勢制御能力が低く、凹足の人も姿勢制御能力が低いとされています。
この原因は足底の接触が少なく、脳への感覚入力が少ないため、姿勢動揺につながると考えられます。
現代人は裸足になるという環境が難しいですが、ご自宅では靴下やスリッパをなるべく履かず裸足で過ごすなどの工夫やお風呂上がりにテニスボールなどを足裏で踏み足底を刺激することで姿勢が安定します。
足底からの感覚情報を普段から意識することで、日常生活の質の向上をすることができます。