インスリン感受性を最も改善する食物繊維は?
これまで『停滞期の原因を「消化」「吸収」「代謝」「排泄」の順番で解説して来ました。第12記事目の今回も「排泄」です。前回「体脂肪にだけ栄養を届けない方法」に続き、「最強の腸内環境GFP-1を最大限に引き出す栄養基準」について解説していきます。
前回の記事では、食物繊維を摂るとGPR43が活性するから良い。ということを書きました。では、どの食物繊維が最も効果的なのでしょうか?
「食物繊維」というと水溶性食物繊維、不溶性食物繊維、イヌリン、難消化デキストリン、寒天、色々なものをご想像される方もいると思います。
今回注目すべきは、未消化のまま腸まで届きつつ、善玉の腸内菌にとっては食べやすいものとして「難消化でんぷん(レジスタントスターチ)」が優良です。
難消化でんぷんというのは、不溶性と水溶性の食物繊維の両方の性質を持つユニークな炭水化物です。
難消化でんぷんは主に4種類あります。
❶穀類のように硬い細胞壁に囲まれているため消化酵素が澱粉に届かないタイプ。(例:大麦、玄米、種子類、豆類)
❷アミロースなど、でんぷん粒子自体がもともと消化しにくいタイプ
(例:インゲン豆、とうもろこし、ジャガイモ、さつまいもなど)
❸冷やご飯や春雨のように、一度加熱されて糊化した後冷める過程で消化しにくい構造に変化したタイプ(例:冷やご飯、ライ麦パン、そば、ポテトサラダ)
❹加工でんぷん(例:オールブランなど)
短鎖脂肪酸を用いてインスリン感受性を整えようとする場合、腸内菌の生育環境が良い必要があります。腸内菌は、胆汁に弱い性質があるので、短鎖脂肪酸をもちいた減量は、低脂質のダイエットと組み合わせる方が相性が良いです。
また、低糖質・高脂質の減量を長く継続されていた場合、長期にわたる胆汁の仕様によって腸内環境が変化してしまっている可能性があります。腸内環境が悪化してしまうこともあるのです。その場合は、腸内環境が回復するまでに時間がかかることと、インスリン感受性が一部変化してしまっているため、低脂質の食事へ切り替える導入期ではうまく栄養を代謝できないかもしれません。
インスリン感受性を整えるためには、短鎖脂肪酸を素早く得る必要がありますから、酢酸(お酢)など摂取されると腸内菌の回復が間に合わずともGPR43を刺激することはできますので、低脂質の食事への切り替えが楽に進むかと思います。
今までの食生活と腸内環境、そして現状の血糖値バランスや代謝傾向によって、その人に適した栄養バランスは異なります。
あなたの体質に合う栄養バランスをオーダーメイドしながら健康と肉体美を作っていきましょう!