停滞期最大の敵「脂肪肝」
これまで『停滞期の原因を「消化」「吸収」「代謝」「排泄」の順番で解説して来ました。4記事目の今回も「代謝」についてです。前回の「停滞期の隠れた黒幕、副腎疲労」に続き、「脂肪肝とインスリン感受性」について解説していきます。
「体質が変わってしまったのかな?」こんな悩みを相談されるお客様が増えたように感じます。以前は低糖質の食事で痩せられたのに、今は同じ方法で痩せられない。いったい何が起きているのだろう?このように悩まれているのです。
遺伝的に代謝の向き不向きはありますが、「以前痩せられた方法が効かなくなる」なんてことがなぜ起こるのでしょう?もし、この原因を解決できたらダイエットに用いる栄養バランスの切り替え方や停滞期打破法はかなり前進するかもしれません。
体質が変わってしまう原因として「インスリン感受性の変化」があります。インスリンとは、摂取した栄養を細胞に送り込む働きがあるホルモンです。このホルモンの効きが悪くなると正常時より大量に分泌して無理やり栄養を細胞に押し込まなければならない状況になってしまいます。ただ、筋肉や内臓がインスリンの作用に鈍い状況では脂肪細胞が栄養を吸収することになります。
インスリンとは糖質を摂取した時に「追加分泌」されますが「基礎分泌」としても24時間微量に常に分泌されています。インスリンの感受性が低下していると、例え糖質を摂取していなくても基礎分泌で栄養が脂肪に届きやすくなる状況です。痩せにくくなってしまう。このような現象は確かにあるのです。
インスリンの効きが悪くなってしまう最も代表的なのは「脂肪肝」。ぜひ確認してみましょう。前回に続き血液データの登場です。肝機能の「AST」よりも「ALT」が2以上高い場合、そしてγ-GTPが15以上あるようでしたら脂肪肝の可能性を考えると良いでしょう。
また、ALTとASTが20以下。γ-GTPが12以下であればタンパク質不足。隠れ肥満に多い脂肪肝で、ダイエット以前に基礎栄養が足らない方はこのような数値の場合もあります。
脂肪肝で肝機能が衰えている場合、意識したいのは症状に合わせた栄養補充です。タンパク質は体重の1.5〜2.0gを一日の摂取目標量にしたいです。そして糖質の摂取を控えます。インスリン感受性が低下しているため、良質な脂質であっても多過ぎないように摂取しましょう。
多めの摂取を心がけたいのは
❶ビタミンC
❷ビタミンB群
❸ビタミンD
❹亜鉛
❺鉄
❻マグネシウム
❼食物繊維
これらの成分を意識して摂取したいです。
肝臓の炎症を抑える栄養が必要なこと。大量のインスリンを作り浪費してしまった栄養の補充、インスリンの働きを受信するための栄養の補充などを心がけることで改善が期待できます。
普通のダイエットと違って、開始すぐに効果が現れるものではありません。個人差や脂肪肝の状態によって違いがあるので簡単なことは言えませんが、1ヶ月は体重が変わらない時期があるかもしれなません。体重の減りは劇的ではないとあらかじめ心がけておくと良いでしょう。
減量を大いに実感できるのは、インスリン感受性が戻ってからです。インスリン感受性が回復してしまえばその後の減量はとても楽になります。根性論でたった1キロの減量のために神経をすり減らすことも減るでしょう。
脂肪肝は身近な言葉になりましたが、ダイエットを試みる人にとって結果は心の支えです。脂肪肝はこの心の支えを大きく揺さぶるでしょう。
短期集中でガツンと痩せたいと抱く人にとって時間がかかるダイエットは不都合かもしれません。間に合わせるために食べないダイエットをしてリバウンドした。と仰ると方も時々見受けられます。
人生は長いです。今年無理やり痩せても、根本を解決できない状態では来年またリバウンドしているかもしれません。何度も繰り返すと健康からどんどん遠のいてしまいます。
健康は人生を潤します。健康は財産です。先が見えないトンネルを歩くような心配を抱える時もあるかもしれませんが、トレーナーが支えになります。トンネルを走り抜けて健康でアグレッシブな心身を手に入れましょう。