浮腫と代謝低下を打破してくれる「アルブミン」
これまで『停滞期の原因を「消化」「吸収」「代謝」「排泄」の順番で解説して来ました。第13記事目の今回はちょっと前の段階に戻って「代謝」です。前回の「インスリン感受性を最も改善する食物繊維は?」に続き、今回は「浮腫」について解説していきます。
「浮腫(むくみ)」とは、体内で水分の運搬が上手く出来いことで起こる鬱血のようなものです。
体内の水分は血液として血管を流れています。細胞は血管から滲み出でた液体(組織液)に浸されて栄養を受け取っています。血管外に滲み出た古い組織液はリンパ管に入って心臓へ戻るか、静脈に吸収されて心臓に戻るか、2通りで回収されます。
浮腫とは、この組織液が適切に回収されずに溜まってしまうことを指します。
なぜうまく回収できないのでしょう?
1つはリンパに腫瘍がある場合で、これは一般に手術が必要とされています。(リンパ腫瘍がある場合はその患部から先が吐出して浮腫む特徴があります。)もう1つは、静脈が組織液を吸収出来ないケースです。今回は後者の静脈が組織液を吸収できないケースについて言及します。
静脈が組織液を吸収する仕組みは「漬物」を想像されると良いです。食べ物を塩漬けにすると水分が抜けていきます。水分は、薄いところから濃いところへ流れ出ていくのです。この濃度差によって液体が移動する力を「浸透圧」と呼びます。
動脈は血圧によって組織液を滲み出しますが、静脈は浸透圧によって組織液を回収する仕組みになっています。
浮腫を改善しようと試みる場合、血液データの「アルブミン量を4.5mg /dl」には届くようにする必要があり、タンパク質の摂取量を増やす必要があります。
保険診療で健康診断を受けた場合、アルブミン数値が不明な場合があるでしょう。その場合は「総蛋白が7.5あること」「AST、ALTがそれそれ20あること」「BUN(尿素窒素)が20あること」「γ-GTPが12あること」など、総合的に判断すると良いです。
それぞれの数値はお互いに干渉し合いながら代謝しているので、どれか1項目が目標をクリアしていたとしても、他で低値していたらやはりタンパク質の摂取量は増やしていきたいです。
また、「A /G(アルブミン・グロブリン値比)」が正常であったとしても、この数値は「比」なので互いに低値であっても正常と診断されてしまう可能性もありますから参考程度にとどめておくと良いでしょう。
アルブミンとは血液を流れる主なタンパク質です。ダイエットや仕事中の集中力においてとても重要な成分です。アルブミンは普段トリプトファンと結合して血液を流れていますが、集中している時、運動している時は脂肪酸とアルブミンが結合して、トリプトファンは放出されて脳に届きセロトニンとなって集中力を助けます。アルブミンと結合した脂肪酸は燃焼経路に組み込まれます。
そのほかにもアルブミンは亜鉛やホルモンの運搬など様々な代謝を支えるインフラとして活躍しています。アルブミンが不十分なだけで、ダイエット以外の様々なパフォーマンスが不活性になってしまうのです。
アルブミンを増やすためには、タンパク質の摂取量が重要です。明らかなに低値であった場合タンパク質は体重×2gは摂取して回復に専念したいところです。
また、胃腸が弱くてタンパク質を十分に消化吸収できない場合、グルタミンを筆頭にBCAAやEAAなど消化の必要がないアミノ酸から摂取することで回復が期待できます。
また消化能力そのものの底上げには胃酸が十分に分泌される必要がありますから、食中のお酢の摂取が有効です。りんご酢やオニオンビネガーなどを薄めて飲まれると良いでしょう。
アルブミンの半減期は20日なので、効果を実感するには1ヶ月弱かかるため長期的な取り組みになりますが、ぜひおすすめします。
ダイエットや体作りの目標を、体重や体脂肪率にすると分かりやすいですが、道ゆく人たちが人の体重を想像することはありません。実際は、見た目であり第一印象が重要でしょう。
浮腫改善そのものは1ヶ月弱かかりますが、ダイエット全体の期間を考えると1ヶ月目から効果が実感できる浮腫対策は非常に魅力的かもしれません。
「なぜ痩せないんだ」と悩む方や。「コンテスト前の水分コントロールが苦手だ。」といったハイレベルな方まで、アルブミンコントロールは多くの問題を解決してくれる中核となる分野です。気合ではどうしようもできなかった課題を解決する光にとなると言っても良いでしょう。
アルブミンを知れる全項目を保険診療内で知るのはできないと思いますが、ぜひ私たちと一緒に分析して乗り越えていきましょう!