食後の症状で分かる必要な栄養素
これまで『停滞期の原因を「消化」「吸収」「代謝」「排泄」の順番で解説して来ました。第7記事目の今回も「代謝」についてです。前回の「心の乱れは血糖値の乱れ。停滞期に必要な血糖コントロール術」に続き、「食後の症状パターンと栄養対策」について解説していきます。
「インスリンスパイク」聞いたことはあるでしょうか?糖尿病関連の記事や、GI値が低い糖質を食べましょう。と謳うヘルスケア関連の記事でよく目にする言葉です。
インスリンスパイクとは、食後に上昇した血糖値をインスリンが“過剰に分泌すること”でグンと下げ過ぎてしまうことを言います。インスリンがなぜ過剰に出てしまうのか?ここに関しては過去に脂肪肝について解説させていただいた記事がございます。その記事の結論は、亜鉛の摂取量の見直し。そしてGI値の低い糖質の摂取や、糖質そのものの摂取量を見直しましょう。と書かせていただきました。詳しくは過去の記事も是非読んでいただければと思います。
インスリンによって低血糖になってしまった場合は副腎が様々なホルモンを出して血糖値を引き上げようとします。この内容もぜひ「副腎疲労」として解説した記事がございますので、ぜひ遡って読んでいただけたら有難いです。
今回の記事は、この血糖値を引き上げるために偏って使われたホルモン別の症状と、症状別の栄養対策について記載していきます。
食後の症状別対策法
【食後2時間以内に空腹が再燃してしまうケース】
コルチゾルがインスリンスパイクによって反応した場合に起きます。
コルチゾルは血糖値を引き上げて、エネルギーを捻出する作用がある反面、食欲を促進してしまう副作用があります。
コルチゾルが慢性して分泌され続けていくと、ビタミンCや、マグネシウムなどが枯渇していきます。素材が枯渇してしまうと「副腎疲労」となって代謝がうまくいかなくなってしまいます。
[栄養対策]
コルチゾルが慢性分泌したために消費された素材を補充しつつ、血糖値の乱高下を防ぐことが重要です。
脂質(EPA)の摂取と亜鉛、マグネシウム、ビタミンCの摂取を心がけると良いでしょう。
【食後2時間からイライラしたり強い不安感などがあるケース】
イライラするなど、神経系が過敏になっているのは、ノルアドレナリンが過剰に反応しているケースで、ノルアドレナリは脳を興奮させる作用を持っています。
また、不安症のように神経が張り詰めしまう場合、腸内環境が悪化することでセロトニンの合成が上手くできていない可能性があります。
この場合、食物繊維に加えて乳酸菌を摂取したいですが、ヨーグルトなどの乳製品・動物性の乳酸菌はおすすめできません。ぬか漬けやキムチなど植物性の乳酸菌を摂取すると良いでしょう。
[栄養対策]
植物性の発酵食品、海藻、タンパク質、葉酸、鉄、ビタミンC、ビタミンB群
【食後2時間から手足の痺れや動悸、筋肉の強張りがあるケース】
アドレナリンはノルアドレナリンと違い、身体を興奮させる傾向の働きを持っているため、身体に症状が現れやすいです。
また、アドレナリンはノルアドレナリンを元に合成されるので、栄養対策はアドレナリンと類似しています。
アドレナリンを日頃から酷使している人はコーヒーなど「カフェイン」に依存している可能性があります。アドレナリンを無理やり分泌させることで、エネルギーを捻出しようとしている可能性がありますから、カフェインをやめて、マグネシウムを効率的に摂取するために経皮摂取すると良いでしょう。
「エプソムソルト」という入浴剤を使って、20〜30分ほど浴槽に浸かると経口摂取より効率的です。
[栄養対策]
エプソムソルト(入浴剤)、カフェイン中止、タンパク質、葉酸、鉄、ビタミンC、ビタミンB群
【アドレナリン、ノルアドレナリンに共通する栄養対策】
コルチゾールの酷使も相まっている場合も十分に考えられます。神経伝達物質そのものの発火(脳細胞に刺激が走ること)を抑制するGABAに注目するのも有効です。GABAは副作用がなく安定して心身を落ち着かせる作用があるため、非常におすすめの対策です。
[栄養対策]
グルタミン、ナイアシン、ビタミンB6
顔や身長、体格に個性があるように、代謝も様々な個性があります。タンパク質の合成を決めているのはDNAですが、このDNAがホルモンの合成傾向も左右していると言われています。それぞれにあった栄養を見定めるヒントは、その人自身の私生活の隠れています。
普段どんなことを感じているのか?どんな食べ物が好きか?そういった内容からその人の代謝傾向が予想できるのが健康を科学する正解の難しさであり面白さです。
健康や体作り、トレーニングを通じて、健康になる面白さと、体を知る面白さも一緒にご提供できるサポートさせていただきます。