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減量から一度離れなければならないケースについて

これまで『停滞期の原因を「消化」「吸収」「代謝」「排泄」の順番で解説して来ました。

前回の「何をやっても結果が出ない人の「個人差」を考える」に続き、今回19記事目は「何をやっても結果が出ない人のミネラル欠乏症」について解説していきます。ここから先の記事は個々の細かな症状や感染症、代謝別のアプローチへ移行して参ります。

今回の記事は「目先のダイエットから一旦離れなければならないケース」について言及します。代謝が著しく減退しているため、どうにも痩せることは不可能。

そのため、ミネラルバランスやビタミンをはじめとしたアンチエイジングが完了するまでは痩せないと思って専念せねばならないケースを取り上げます。

復習です。前回の記事では、DNAが様々な機能を持つタンパク質を合成するけど、その生産量や利用用途、ビタミンやミネラルとの結合のし易さは個体差があり、これこそ個人差の正体だ。と言うお話でした。

体脂肪を燃やすために必要な酵素が足らない場合、「素材は足りているか?」と言う発想が重要です。また、ビタミンと結合し難いなら、ビタミンの摂取量を増やしたら良いのか?このような発想を体の様々な状態に当てはめて考えることで、その方が本来もっている機能は回復してきます。

タンパク質と言えば、過去の記事でタンパク質の摂取量は血液データの「総タンパク」「γ-GTP」「尿素窒素」などから判断できる。と記載したことがありました。

また、ビタミンB6は肝臓機能の指標である「AST」「ALT」で判断できて、ただしビタミンB6が欠乏している場合、他のビタミンB群も欠乏している可能性が高い。このようなお話をさせいていただくことがありましたね。

ここから本題のミネラルについて言及します。

ミネラルとは人体を構成する主な4元素「酸素」「炭素」「窒素」「水素」以外の物質です。体の調子を整えたり骨や酵素の保因子として働くものがミネラルです。このミネラルが欠乏すると酵素が正しく機能せず、様々な代謝異常を起こすことがあります。

例えばHOMA-R指数と言うものがあります。ブドウ糖1単位あたりのインスリン量を比率で表したもので、インスリン抵抗性を数値したものと思っていただくと良い指標があります。

運動量も、筋肉量もあって、正しい食事をしているにもかかわらず痩せな場合、何らかの原因でHOMA-R指数が高値している可能性があります。HOMA-R指数を改善するために、強い相関関係がある亜鉛やビタミンDの摂取を見直すことで絶望的に痩せられない状況を打破できるかもしれません。

さて、亜鉛に触れましたがミネラルの厄介な点は難吸収性なことです。ビタミンは易吸収性ですから特効薬として注目されることもありました。しかし、ミネラルはそうは行きません。例えばマグネシウムは難消化性なため、下剤として用いられるほど体内に吸収され難く、当然効果が現れにくいです。

ミネラルの吸収効率を上げるにはどうしたら良いでしょう?

ミネラルの吸収は「イオン化」が重要です。ミネラルをイオン化するためには胃酸が適切に分泌されていることが重要です。過去の記事で述べた「低胃酸」や「ピロリ菌感染」などに該当する場合、ミネラルの吸収がうまくできなくなりやすいです。

日本人はもともと胃酸がそんなには強くない上に気質が繊細な傾向にあります。交感神経が優位になりますから、消化器官の補助はダイエット期間こそ重要でしょう。

ミネラルのイオン化に「クエン酸」や「お酢」が役立ちます。牡蠣にレモン汁をかけて召し上がる方もいると思いますが、このように食中にミネラルやお酢を併用摂取することでミネラルの吸収を促進することができるのです。

ただし、低脂質食の減量をされている方がクエン酸などを摂取すると、解答系が阻害されて減量を妨げるのでご注意ください。クエン酸やお酢を用いる場合は、低脂質の食事をされている時や、ダイエットから離れている時にされると良いでしょう。

また、ミネラルの吸収を促進するものに「バランス」があります。
例えば「ナトリウム」と「カリウム」それぞれは水分のコントロールで役立つ元素です。「塩分過多だからカリウムを摂って排出しよう」なんてアドバイスを受けたこともあるでしょう。その原理は、原子の最外殻の電子数が同じだからです。

「スイ・ヘー・リー・ベー・僕・の・船…」こんなふうに学生時代暗記してきた元素の周期表ですが、縦軸同士の元素は最外殻の電子数が同じで、性質が似ています。似ている元素は互いに反発します。この性質は、片方を偏って摂取してしまっている場合にもう一方のミネラルの吸収効率を低下させる働きとして現れます。

このように対をなすミネラルの代表には「ナトリウムとカリウム」「マグネシウムとカルシウム」があります。他にも体内で拮抗するミネラルに「銅と亜鉛」などもあります、それぞれが安定して体内で機能するためには、対のミネラルとのバランスが適切に保てていないといけません。

亜鉛やマグネシウムは血液データのALPが指標です。ここまでは保険診療内で確認できますが、もしさらに踏み込んだ検査をして「血清亜鉛」の不足が確認できたなら、「血清銅」は多いかもしれません。

銅は女性ホルモンの刺激で体内に蓄積しやすいです。銅は本来鉄を血液へ適切に放出する役割を持っていますが、過剰に蓄積すると活性酸素の生成を増やし、HOMA-R指数の高値化に伴う減量の妨げが起きてしまうのです。

さらに、亜鉛が相対的に不足すると白血球数が低下する傾向があります。白血球数の減少を確認できなくても、アトピーや痒みが出ているようでしたら、亜鉛不足による免疫低下を疑っても良いでしょう。その他にも亜鉛不足が亢進するとインスリンの分泌量のコントロールが効かなくなり、過剰分泌を伴って耐糖能異常が起きることもあり、ダイエットが難航します。

このようにミネラルの偏りや過剰蓄積が様々な代謝異常を合併させるので、カロリー制限や低糖質、運動量増加では太刀打ちできないほどに状況が複雑化してしまうことがあります。

この状態を焦ってさらにカロリー制限をした場合、全体の食事量が減るためミネラルの欠乏は悪化。ダイエットが泥沼化して摂食障害を発症することもあります。

この場合は、体重を落とすことよりも、HOMA-R指数改善や、その背後にある体内のミネラル・ビタミンバランスを整えることに専念するのが必要です。上記の数値改善が改善しないうちは、どのダイエット方法も効果が表れ難いと思って計画を立て直すことも必要でしょう。

ダイエットを諦める必要はありません。しかし、今日や来月のダイエットから一度離れて、栄養の調整に専念せねばならない状況もあります。

苦しい決断をせねばならない時もありますが、原因がわかること。すべきことが知れること。そして、信頼するトレーナーがいることは、闇雲に努力するよりもずっと心強いものです。

一緒に乗り越えていきましょう。体を変えることはきっかけでしかありません。その先の本当にやりたいことに向かってサポートさせていただきます。

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