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脂肪細胞にだけ栄養を届けない方法

これまで『停滞期の原因を「消化」「吸収」「代謝」「排泄」の順番で解説して来ました。第11記事目の今回は「排泄」です。前々回に「グルカゴンの反乱。糖尿病の新しい病理から考える低糖質食の可能性」の続き、「インスリン感受性を自在にコントロールする方法」について解説していきます。

例えば、草食動物の牛。あの大きな肉体は主食の草(主に炭水化物)からどうやって作り上げたのでしょうか?牛が食す牧草にはセルロースという強力な繊維があります。セルロースはセルラーぜという消化酵素があれば分解できますが、牛はこのセルロースを持っていません。牛は、セルロースを栄養素のしているわけではないのです。

牛は自身がセルロースを分解できない代わりに、共生生物(腸内菌)によって短鎖脂肪酸を作り出し、栄養源としているのです。

このように、私たち動物は食べ物を吸収する前に腸内菌の影響を受けてから代謝をします。

もし、脂肪細胞よりも優先的に筋肉や内臓に栄養を届ける体質改善ができたら、ダイエットや筋肉増量の効率は著しく向上するでしょう。消化後の栄養の届け先をコントロールできたら。。。私たちの健康維持計画や代謝疾患へのアプローチは大きく前進します。

今回注目したいのは、腸内菌とGPR43という脂肪酸受容体。
GPR43とは、腸にある脂肪酸受容体で、短鎖脂肪酸を認識します。GPR43が短鎖脂肪酸を認識することで活性し、交換神経を介してエネルギーの向上性を保つ効果があります。また、インスリンて感受性のコントロールが筋肉と内臓細胞のだけ作用し、脂肪細胞のインスリン感受性には関与しない性質があるとてもユニークな性質がある受容体なのです。

このGPR43は短鎖脂肪酸が不可欠で、短鎖脂肪酸は、食物繊維を腸内菌が分解することで得ることができます。

厚生労働省は、「食物繊維の目標摂取量を一日20g以上。」と定めています。ですが、腸閉塞などの持病がなければ、もっと食物繊維を摂取しても良さそうです。

メタボリックシンドロームの患者に毎日40gの食物繊維の摂取を12週間にわたって摂取し続けた試みた結果、血糖値とインスリン感受性の回復、内臓脂肪の減少が確認できました。

また、似た実験をBMI30以上の肥満者で。インスリン抵抗性を有する者を対象に行なった実験でも同様の結果が得られたという報告がありました。

腸は人体が代謝を始める前段階で作用する領域で、インスリン感受性の変化など代謝そのものにも大きな影響を持つ分野です。腸内環境をどのように整えたかがPFCバランスやカロリー計算をするのと同じくらい重要です。

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