「食べなければ痩せる落とし穴」減らす前に代謝経路を整えよう
これまで『停滞期の原因を「消化」「吸収」「代謝」「排泄」の順番で解説して来ました。
第8記事目の今回も「代謝」についてです。前回の「食後の症状で分かる必要な栄養素」に続き、「糖尿病患者から学ぶ栄養代謝改善法」について解説していきます。
血糖値とは、血液中に流れる糖度を指します。停滞期をどう乗り切ろうかと考えた時、「食べなければ痩せる」という安直な対策ではダイエットが泥沼化してしまします。
最悪のケース、拒食症にでもなってしまったらきっと欲しかった健康像とは離れてしまっているでしょう。
「栄養が取り込めないから代謝が下がっている」という視点も必要です。
小腸で吸収された栄養は、一度肝臓で代謝できる形に変換された後、全身の細胞へ血流に乗って運搬されます。血管壁から滲み出て細胞表面まで栄養が届くには「タンパク質を必要量摂れていること」が重要です。
栄養の代謝は主に2段階あります。
❶細胞内へ取り込まれた段階
❷細胞内のミトコンドリア内に取り込まれた段階
この2段階を経て栄養は完全に代謝されます。重要なのは、いかにそれぞれの膜を通過させるかです。どうやったら「膜」を通過できるでしょう?
まず1段階目の細胞膜から考えます。筋肉細胞が栄養を取り込むためにはGLUT4と呼ばれる輸送体が必要です。このGLUT4は主にインスリンによって活性します。
糖質を摂ると力が出るのは、このようにして栄養を細胞が取り込みエネルギーを生み出しやすくなるからです。
では、インスリンの働きが弱い方はどのようにするとGLUT4を活性できるでしょう?
GLUT4をインスリン意外で活性する方法は2つあります。
❶運動する
❷ロイシンを摂取する
ロイシンは、BCAAなどのサプリメントによく含まれています。ロイシンはインスリンとは違う方法でGLUT4を活性させます。停滞期が起きている時の解決策の一つとしてロイシンで栄養の取り込みを促すと効果的です。
細胞膜を通過した後は、「ミトコンドリア」の内側へ栄養を取り込ませる必要があります。
アミノ酸や糖質から代謝されたものはそのままミトコンドリアに取り込まれます。ですが、体脂肪をミトコンドリアの内側へ送り込むためには「Lカルニチン」が必要です。脂肪は「遊離脂肪酸」という形で血液を流れ、細胞内に入るとアシルCoAという物質になりますが、Lカルニチンが不足しているとミトコンドリア内に入り代謝されることはありません。
代謝されなかったアシルCoAは再び遊離脂肪酸へ戻り再び脂肪細胞に戻ってしまいますから、Lカルニチンを補充させながら減量する事が重要です。
カルニチンは、サプリメントで摂取する事ができますが、体内ではメチオニン、リジン、ビタミンC、ナイアシン、ビタミンB6で合成することもできます。また、カルニチンが遊離脂肪酸をミトコンドリア内へ輸送するためには、さらに鉄とビタミンCの助けが必要です。
脂肪燃焼サプリメントで名高いカルニチンですが、その前段階がインスリン感受性が悪いことで上手くできていないケースが増えていると聞きます。
極端なダイエットで栄養欠乏が慢性してしまった方々です。低糖質ダイエットも、低脂質ダイエットも、カロリー制限ダイエットも、全てに共通するのは「何かを減らす方法であること」です。
これはダイエットにおける基本ですが、減らしたものをどこかでリカバリーしないでいると思わぬ代謝低下を起こしてしまいます。
食べないダイエットは誰もが思いつく簡単な論理ですが、健康は人生の財産です。劇的に変われる魅力も捨て難いですが、人生の目的と合わせて堅実に健康を築き上げていきましょう。