高脂肪食で起こる耐糖能低下を回復させるには?②
これまで『停滞期の原因を「消化」「吸収」「代謝」「排泄」の順番で解説して来ました。
停滞期の原因について、具体的な症状別の話に移行しています。今回第25記事目は、前回の「高脂肪食で起こる耐糖能低下を回復させるには?①」に続き、耐糖能回復の2つ目の方法や原因究明について解説していきます。
私たちが栄養からエネルギー(ATP)を生み出す際には「解答系」「クエン酸回路」「電子伝達系」この3行程を経ています。
さて、面白いのは、糖質の代謝は「解糖系」「クエン酸回路」「電子伝達系」の3行程を経ますが、タンパク質や脂質の代謝の場合、「クエン酸回路」「電子伝達系」この2行程です。タンパク質や脂質は代謝段階がひとつ少ないです。これは「エネルギー効率が良い」と言う解釈をして良いものなのでしょうか?
解糖系とは、ブドウ糖からピルビン酸を生成するまでの行程を指します。ただ、糖質は体内の酸素貯蔵量によって代謝の出口が2種類に分かれます。
酸素が十分にあればブドウ糖は無事ピルビン酸に変化をしますが、酸素が不十分な条件下では乳酸に変化してしまいます。血液データで言うとLD値(乳酸脱水素酵素)が高いと乳酸の分解がうまくできていない。
乳酸をピルビン酸へ戻してクエン酸回路へ繋げる行程がうまくできていない。ナイアシンが不足しているのではないか?いやいやヘモグロビンなどの酸素運搬を担う細胞の活性が不全なのではないか?そうだとしたらMCVやヘマトクリット、AST、ALT値は無事だろうか?このように演繹するわけですが、今回は「高脂質食が長期化した場合の耐糖能低下」について限定して考えます。
ヘモグロビンは各細胞に酸素を届けるだけでなく、栄養も届けてくれます。ですが、届けるものを届けたら手放しで戻ってくることはありません。二酸化炭素なとを代わりに受け取れないと酸素を十分に受け渡せなくなってしまうのです。
酸素を消費しないで代謝をしていて、細胞内酸素濃度が高い状態だと新たに酸素を受け取ることはできません。細胞内できちんと酸化反応をして、二酸化炭素濃度を高めておかないと酸素を受け取ることができないのです。
細胞が酸素を受け止めることができなければ、細胞内のミトコンドリアがクエン酸回路から先の代謝をスムーズに起こすことはできません。私たちが窒息するほどに酸素運搬が滞ることはありませんが、最終的にATPを精製できなければ体は代謝が上がらずに痩せられない現象を引き起こしてしまうのです。
この、ミトコンドリアが二酸化炭素濃度のよって酸素運搬能力を左右されてしまうことを「ボーア効果」と呼びます。糖質も脂質も、タンパク質も、ミネラルもビタミンも、全てうまくいっていたはずなのにうまくいかない原因は、もしかしたら栄養量の話ではなく、体内の二酸化炭素濃度によるヘモグロビンの運搬機能低下。酸素提供力に付随してミネラルやビタミンの運搬も当然低下していたのではないか?と見ることができます。
さて、こうした判断は一体どこで行うと良いでしょうか?高脂質食が長期化してていることを念頭に見るべきですが、ここでは総コレステロール値を見ると良いです。コレステロール値と。甲状腺ホルモンはお互いに反比例します。コレステロールが高ければ甲状腺ホルモンは十分に分泌しておらず、代謝が下がっているかもしれません。
コレステロールを十分に活用できないような状況にある可能性を考慮しながら、高脂質食を3ヶ月以上されている場合などと合わせて判断すると良いです。
本当なら甲状腺ホルモン試験をして判断するのが妥当ですが、長期にわたる高脂質食があったならこうした甲状腺ホルモンの分泌量低下を判断されると良いでしょう。甲状腺ホルモンが回復するには、最低100g/日の糖質摂取が必要です。
ずっと低糖質をされていた方が、いつどのタイミングで栄養構成を変えるべきかを判断する指標として、こうした視点があると、ダイエットは当てずっぽではなくもっと自信を持って楽しく継続できるでしょう。